毎号楽しみにしている『日経トレンディ』📚
前回のメモでは、ローソンの車中泊やトライアル号など、気になったトピックをざっと書き出しましたが、今回は同じく2025年12月号を読み込みながら、自分なりの「2026年の消費トレンド」と「ビジネスへの示唆」を整理しておきます。
単なるヒット商品カタログとして眺めるのではなく、「人の時間の使い方」「お金の使い方」「気分の整え方」がどう変わっているのかを軸に、気になったポイントをピックアップしていきます。
本屋は“モノを売る場所”から“体験を売る場所”へ
個人的に一番ワクッとしたのが、TSUTAYAを展開するCCCの「書店再定義」の話でした。
- TSUTAYA × フィットネス(ピラティス):本屋にピラティススタジオを併設し、2027年までに200店舗規模を目指すという攻めの計画。
- 運動しながら本を選ぶ:軽い運動の合間にTSUTAYAの本を「試し読み」できる設計で、滞在時間と来店頻度が増加。本の売上もプラスに効いている。
- トレカ戦略:トレーディングカードショップ併設店も拡大中。トレカは「95%が店舗購入」という性質があるので、来店数アップ+ついで買いを生む“磁石コンテンツ”になっている。
一方で、資金力のない町の書店向けには、ネブラスカが提供する無人化ソリューションも登場。LINEを使った入店管理などで初期費用を抑えつつ、24時間営業・人件費削減で1〜2年でコスト回収を狙えるモデルになっているとのこと。
ここから見えるポイントは、次のあたりだと感じました。
- 書店は「本だけ」では戦えない。フィットネス・トレカ・カフェなど“時間を過ごす目的”を掛け合わせることで復活の芽が生まれる。
- 小規模店は「人がいなくても回る仕組みづくり」が生命線。無人・省人化+限定イベントで勝負する時代。
自分のビジネス視点で見ると、「本屋に何を掛け合わせるか」という発想は、そのまま「自分の強み × 何か」の組み合わせに置き換えられそうです。
タイパ志向と「苦行キャンセル」を支える生成AI
誌面全体を通して感じたキーワードは、やはりタイムパフォーマンス(タイパ)でした。「苦労は買ってでもしろ」ではなく、「苦労はお金を払ってでもキャンセル」が若い世代のスタンダードになりつつある、という指摘はかなり刺さります。
① 翻訳こんにゃくがついに現実に:多言語リアルタイム翻訳
ドラえもんの「翻訳こんにゃく」ポジションを狙うのが、多言語リアルタイム翻訳サービス群です。
- フォント通訳:音声 → テキスト → 翻訳 → 音声化までを最短1秒でつなぐアプリ。会話のリズムを崩さずに多言語コミュニケーションが可能に。
- Appleのライブ通訳:AirPods Proと連携し、「Hey Siri、ライブ翻訳を開始」で目の前の人の声だけを聞き分けて逐次通訳。
- 自分の声で多言語:自分の声をAIに学習させ、「自分の声のまま外国語で話す」サービスも登場し始めている。
「2,000時間の英語学習」をショートカットしてしまうレベルのテクノロジーが、数年のスパンで一般化しそうです。語学学習ビジネスは、“勉強そのものを売る”から“体験の質を上げるサービスを売る”方向にシフトしていきそうだと感じます。
② AIショッピング:令和版「御用聞き」が家にやってくる
買い物分野では、生成AIが「調べる・比較する・探す」時間をまるごと肩代わりする方向に動いています。
- LINEヤフーのお買い物AIアシスタント:質問に答えていくだけで条件に合う商品を提示。
- Googleのバーチャル試着:自分の写真とWeb上の服の画像を合成して、フィット感を確認。
- Amazon Alexaプラス:欲しいものが曖昧でも、会話から意図を汲んで商品提案。足りない日用品を先回りで注文する“エージェント”的な動きも視野に。
ここまでくると、「商品を選ぶ」のではなく、「エージェントに方針を伝える」感覚に近くなります。EC・小売側は、SEOや広告だけでなく、「AIに選ばれる前提で情報を構造化しておく」ことが勝負になりそうです。
若者は「実利」と同じくらい「気分」を買っている
日経トレンディらしいなと思ったのが、「実利だけでは説明できない消費」にもちゃんとページを割いている点でした。特に印象に残ったのがこのあたりです。
- 香水自販機「Perfumeマティック」:ワンプッシュ数百円で、有名ブランドの香りを“その場でまとえる”自販機。ボトルを買い切るのではなく、「今日の気分」を選ぶ使い方。
- マウスウォッシュ「The Breath」:12時間口臭ケアという機能性に加え、「自分も相手も不快にしたくない」「自信を持って話したい」といったメンタル面ニーズを直撃。
- トイデジカメ:あえて画素数の低い撮像素子を使い、「エモい」「レトロ」な写真を撮るためのサブカメラ。キーチェーンとしてぶら下げる“見せアクセサリー”としても機能。
- 応援型カラオケステージ「V Sing」:70人規模の観客とLED・スモーク演出。ギフトポイント「cheer」で、応援する側も承認欲求が満たされる設計。
どれも共通しているのは、「機能だけでなく、気分・自己表現・物語をパッケージにしている」こと。価格競争ではなく、「その世界観ごと好きになってもらう」商品が伸びている印象です。
日常の“小さなストレス”を潰すプロダクトが次々に登場
派手さはなくても、「これあると地味に助かるよね」というプロダクトもかなり多く取り上げられていました。
- キラキラワイパー ドライ&ウェットシート:表がドライ、裏がウェットの3層構造シート。オムツ技術を応用し、「ドライでホコリ → ひっくり返して水拭き」を一枚で完結。
- レンチン2分のモチモチ生パスタ:常温保存できて、パウチごとレンチン2分で生パスタが完成。コンロはソース作りに集中できる、という“タイパ+ちょい贅沢”設計。
- ソフィ お出かけ交換ショーツ:ズボンを脱がずに交換できるショーツ型ナプキン。外出先・職場・保育園など「替えにくい」シーンのストレスを軽減。
- ムーニー 未来のお肌のために:ゆるうんちの水分を吸収する2層構造で、お尻かぶれを防ぐオムツ。共働き世帯・保育園の“タイムラグ”を前提にした設計。
- 高還元デビットカード&Pivot:1〜2%台の高還元で“クレカ並みに得”なデビットカードや、入金・残高にボーナスが付くプリペイド型アプリ。家計管理と「ちょっと得したい」を両立。
共通しているのは、「既存カテゴリーの延長線上」でありながら、明確な“ひとつの不満”をつぶし切っていることです。
- 「掃除シート、ドライとウェット持ち替えるの面倒」
- 「生パスタ食べたいけど、賞味期限と手間がネック」
- 「生理ショーツ、外で履き替えにくい」
- 「オムツかぶれ対策、すぐ替えられない現実に合ってない」
- 「ポイントは欲しいけど、クレカ管理はちょっと不安」
商品企画のヒントとしては、「既存商品に+1機能を盛る」のではなく、ユーザーの“モヤモヤの具体的な場面”から逆算することが改めて大事だと感じました。
「屋外では危険」な日本の夏が、商業施設のチャンスに変わる
気候変動も、消費行動を大きく変えつつあります。2025年の猛暑を受けて、2026年は「屋外レジャーを屋内に持ち込む」動きが加速しそうです。
- のびっこピクニック(イオンファンタジー):イオンの中に「人工芝+ボールプール+サーキット」を備えた屋内プレイグラウンド。レジャーと買い物を一体化し、平均滞在4時間。
- 屋内芝生+イートイン+再入場OK:フード持ち込み自由・保護者交代OKで、家族の“1日イオンで完結”モデルを加速。
- 長崎スタジアムシティ:サッカー・バスケ・商業施設・オフィス・ホテルを一体化させた“スタジアムタウン”。試合のない日も、イベントや仕事で人が集まる仕組み。
- 旧奈良監獄のミュージアム&ホテル化:歴史的建築を生かした監獄ミュージアム+ラグジュアリーホテル。宿泊そのものが「体験コンテンツ」になっている。
暑さ・災害・インバウンド増加など、日本特有の条件を逆手に取った「屋内×レジャー×買い物」のハイブリッド事例が増えてきました。地方の商業施設や遊休不動産も、「全天候型・丸一日型」へ企画を変える余地がありそうです。
移動・通信・支払いの“インフラ側”も静かに変わる
派手ではないけれど、中長期で効いてきそうだと感じたのが、インフラ周りのトピックです。
- Rakuten最強衛星サービス:低軌道衛星を活用し、「空が見えればつながる」スマホ通信へ。山間部・離島・災害時の通信インフラとしても重要。
- EVバッテリー診断サービス:中古EVの“バッテリー劣化具合”を10秒で見える化する「EV診断書」。中古市場の不安を減らし、EV普及の後押しに。
- 円連動ステーブルコイン「JPY C」:海外送金や決済のインフラとして、デジタルウォレットを前提にした円建てステーブルコインが本格始動。
これらはすぐに生活が激変するわけではありませんが、「どこでもネット」「EVの安心中古市場」「デジタル円の当たり前化」という数年スパンの変化を作りそうです。ビジネスとしては、こうしたインフラの上に“乗っかるサービス”をどこまで早く設計できるかが差になると感じました。
ローソンの車中泊&ミニスーパートライアル号:前回メモの続き
前回、ざっくりメモした中で特に気になっていたのが、次の2つです。
- ローソンのコンビニRVパーク:夜間の駐車場を車中泊スポットとして解放し、1泊2,500円前後でトイレ・物販・24時間営業をフル活用。車中泊難民と遊休資産をつなぐモデル。
- 24時間ミニスーパートライアル号:大型スーパーの“サテライト”として街中に出店し、鮮度の高い弁当・惣菜をコンビニ価格帯で提供。自動値下げ・セルフレジで省人化。
今回の記事を合わせて読むと、どちらも「既存インフラを時間帯や立地の切り口で再編集している」という共通点が見えてきます。
- ローソン:夜の駐車場 × 車中泊 × 予約サービス
- トライアル:大型スーパーの厨房 × 小型店 × 24h営業
これは、そのまま自分の仕事にも応用できて、「既に持っている資産(人・車・倉庫・在庫など)を、時間帯や組み合わせを変えて再利用できないか?」という問いに置き換えられそうです。
2025年ヒット商品ランキングから見える“体験最大化主義”
記事後半の「2025年ヒット商品ベスト30」の振り返りも、2026年を見る上でヒントが多い内容でした。
- 国宝:映画 → 原作 → シネマ歌舞伎 → 本物の歌舞伎という「予習&復習ループ」で消費が拡大。
- 大阪・関西万博:複雑な予約・動線ゆえに、ガイドブックやSNSでの予習が必須になり、関連コンテンツが売れた。
- Nintendo Switch 2:見た目の変化より、ロード時間短縮・SD対応など「地味な不満つぶし」でユーザーに受け入れられた。
- せいろブーム:ヘルシー・映える・簡単という三拍子に加え、レシピ本や無印のせいろなど「始めやすい導線」が揃って一気に普及。
共通するのは、
- 一度きりの体験で終わらず、前後に「予習」「復習」のコンテンツがある
- 「これさえ買えばOK」ではなく、関連商品・関連体験に広がる動線が設計されている
自分のコンテンツやサービスでも、「本編の前後にどんな予習・復習を用意できるか?」を考えると、LTV(ライフタイムバリュー)的な伸び代がまだまだありそうだと感じました。
自分のビジネス・副業にどう活かすか?📝
最後に、今回の日経トレンディの内容から、自分のビジネス/副業で意識したいポイントをメモしておきます。
- ① 「タイパ」をどう提供するか?
手間・比較・移動・待ち時間など、どの部分を削ってあげられるかを具体的に洗い出す。 - ② 「気分」と「実利」の両方を設計する
機能だけでなく、「使っている自分の気持ちがどう変わるか?」まで言語化して商品・コンテンツに落とす。 - ③ 既存資産の“時間割り”を変えてみる
使われていない時間帯・曜日・スペースを、別の用途に転換できないか考える(ローソンの夜間駐車場のように)。 - ④ 予習&復習前提でコンテンツを組む
「本編だけ」で完結させず、事前に読む/後から深掘りするネタをセットで用意する。 - ⑤ 小さなストレスを一つだけ徹底的につぶす
機能を盛りまくるより、「これだけは他と比べて圧勝」という1ポイントを作る。
日経トレンディは、単なる「流行りモノ紹介」ではなく、生活者の価値観の変化をトレースするための教科書だと改めて感じました。次号も読みつつ、自分の仕事・副業・コンテンツづくりにどう反映するか、引き続きメモしていこうと思います✍️


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